三冠馬3頭が出走し、世紀の対決と評されたジャパンカップが決着しました。勝利したのは1番人気アーモンドアイ。史上最多となる芝GI・9勝目を挙げました。2着には今年の3歳牡馬三冠を無敗で制したコントレイル、3着には同じく3歳牝馬三冠を無敗で制したデアリングタクトが入り、ドリームレースにふさわしい3強による決着となりました。
この最強対決を制したことで年度代表馬争いもアーモンドアイで決着……となりそうなところですが、むしろこちらはさらなる混戦となっています。
年度代表馬はJRA日本中央競馬会が認定する表彰のひとつで、その年もっとも活躍した馬に贈られる賞です。シンボリルドルフやディープインパクトといった時代を彩るスターホースが名を連ね、アーモンドアイも2018年に受賞しています。
賞の選考は毎年1月に競馬記者の投票によって行なわれます。まず「最優秀2歳牡馬」「最優秀2歳牝馬」「最優秀3歳牡馬」「最優秀3歳牝馬」「最優秀4歳以上牡馬」「最優秀4歳以上牝馬」「最優秀短距離馬」「最優秀ダートホース」「最優秀障害馬」という各賞が選考されたのち、受賞馬のなかから年度代表馬が選出されるという流れです。
今年度は各部門でGIを複数制する有力候補が続出しており、3歳牡馬には三冠のコントレイル、3歳牝馬には同じく三冠のデアリングタクト、4歳以上牝馬ではヴィクトリアマイル・天皇賞(秋)・ジャパンカップでGI3勝としたアーモンドアイと、安田記念・スプリンターズS・マイルCSと短距離路線でGI3勝のグランアレグリアとがおり、GI3勝で並ぶ馬が現時点で4頭います。
さらに今後のレースの結果によっては、大阪杯・エリザベス女王杯を制して有馬記念で今年度GI3勝目を狙うラッキーライラックや、帝王賞・JBCクラシックを制したクリソベリルがチャンピオンズCを制して名乗りをあげる可能性もあります。すでにGI3勝のコントレイル、デアリングタクトが有馬記念に出走して勝てば今年度GI4勝目で一歩抜け出しますが、そうならなかった場合はGI3勝で並ぶ各馬による混戦となるのです。
とりわけ悩ましいのは最優秀4歳以上牝馬の選考で、この部門はアーモンドアイとグランアレグリアのいずれかが選出されると目されますが、実は今年度の安田記念において両馬は直接対決を行ない、グランアレグリアが勝っているのです。GI3勝の内訳でもアーモンドアイは4歳以上牝馬限定戦のヴィクトリアマイルが入っており、GI3勝とも3歳以上による混合戦を制してきたグランアレグリアが上回ります。
となれば最優秀4歳以上牝馬にはグランアレグリアを選出すべきと考える記者も出てくるはず。もしもこの選考でグランアレグリアが選ばれれば、アーモンドアイには他部門での選出の可能性はまずありませんので、年度代表馬に選出される資格も自動的に失うということなります。
逆に直接対決の結果を重視せず、最優秀4歳以上牝馬にアーモンドアイを選出し、グランアレグリアは最優秀短距離馬に選出と、記者たちが「バランス感覚」を働かせた場合、今度はジャパンカップでアーモンドアイとの直接対決に敗れたコントレイルが浮上してきます。
過去の選考において「3歳牡馬で三冠を制した馬はすべて年度代表馬に選ばれている」という事実が示すように、3歳牡馬の三冠は競馬界において極めて大きな価値を持つレース。その後のレースでの勝ち負けよりも、三冠を制したことを重視するという考え方もあってしかるべきところ。直接対決の結果を重視しても重視しなくても、アーモンドアイが年度代表馬に選ばれるためには厳しい道のりが待っているのです。
あちらを立てればこちらが立たずで、今後のレースの結果によっても最後まで揺れ動きそうな年度代表馬争い。この横一線の状況からアーモンドアイが年度代表馬に選出されるためには、最後は記者たちの「アーモンドアイを年度代表馬に推したいんだ」という強い気持ちの有無に懸かっているのかもしれませんね。・
文=フモフモ編集長
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出典:Livedoor Sports Watch