商船三井グループが運航するクルーズ船およびフェリー、内航RORO船にStarlinkが順次導入!


商船三井とKDDIは1日、船上の通信環境改善を目的にSpace Exploration Technologies(以下、SpaceX)が提供する衛星通信サービス「Starlink」を用いた商船三井グループが運航するクルーズ船およびフェリー、内航RORO船での法人向けサービス「Starlink Business」のトライアル利用を実施すると発表しています。

これにより、航海中にダウンロード速度最大220Mbpsの通信環境が利用でき、乗組員と乗船客の高速通信と安全な運航に貢献するとのこと。なお、両社ではこのトライアルで技術的な検証や経済性の評価などを行い、2023年秋以降に各船の状況・スケジュールに応じて順次本格導入していく計画だということです。

KDDIがSpace Xと提携して提供している法人・自治体向け衛星通信サービスのStarlink Businessはすでに[https://s-max.jp/archives/1824458.html[紹介]]しているようにSpace Xの日本法人であるStarlink Japanが日本の領海内での免許取得して海上利用が可能となっており、海上でも下り最大220Mbpsで利用できるようになっています。

陸上でのインターネット利用と遜色ない環境が整うため、容易に航海に必要な情報の収集が可能になり、高速通信が可能になることによってクルーズ船やフェリーの乗船客も旅行中に撮影した動画などをリアルタイムにシェアすることが可能となります。

一方、陸上から遠く離れた海上では基地局からの電波が弱くなるため通常の携帯電話の高速通信の利用は困難で、従来は静止軌道衛星を用いた衛星通信サービスを活用してきましたが、情報量やデータ量の増加によって船陸間のリアルタイムでの情報通信に課題があります。

また海上で船舶を運航する海運会社において船が安全に航行できる状態を維持するための安全運航管理品質の向上は重要な取り組みとなっており、運航に関わるシステムやデータをリアルタイムで陸上と共有することは安全運航の強化へつながるため、船上の通信環境の整備が求められています。

特に若年層の船員からは陸上と同じ高速なインターネットを必要とする声が多く、陸上との情報格差の解消による労働環境の向上が求められ、またクルーズ船やフェリーの乗船客からも旅客サービスの向上として高速インターネットの船上での利用を望む声が増えてきているということです。

そうしたことから今回、商船三井クルーズが運航するクルーズ船「にっぽん丸」、商船三井フェリーが運航するフェリー「さんふらわあさっぽろ」とRORO船「むさし丸」、フェリーさんふらわあが運航するフェリー「さんふらわあさつま」の計4隻にStarlink Businessの海上利用向け通信サービスを搭載し、まずはクルー・従業員にてトライアルを行い、その結果を踏まえて乗船する利用者へのトライアル利用の拡大を検討するということです。

なお、外航船では商船三井グループでもすでにトライアルを行い、既存の通信設備と比較して最大で50倍の通信速度の向上を確認しており、商船三井とKDDIは通信環境の構築が難しい海上において高速通信が可能な衛星通信サービスを活用することによってより快適な船旅の提供や船員の船上での業務や生活の質の向上を図るとともに海上のデジタル・トランスフォーメーションをさらに推し進めるとしています。

記事執筆:memn0ck

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