アルフレッド・ペニーワース(ジャック・バノン)は元英国陸軍特殊空挺部隊(SAS)の兵士。1960年代のロンドンで警備会社を立ち上げた20代のアルフレッドは、後にブルース・ウェインの父親となる若き大富豪、トーマス・ウェイン(ベン・オルドリッジ)の仕事を請け負う。
当時、英国は内乱勃発の一歩手前の緊張状態にあった。地下組織同士の小競り合いが起き、首相も英国政府も右翼と左翼、両急進派の板挟みになっていた。右派には強固な秘密組織の「鴉の結社」があり、そして左派には無名の指導者に率いられた地下集団「名もなき同盟」の存在があった。陰謀と裏切りが錯綜し、政治的情熱が仲間同士をも敵対させる、そういった自国の情勢をアルフレッドは楽観的かつ冷めた目で見ていた。10年間を英国陸軍で過ごしSASで訓練を積んだアルフレッドは、最悪の事態を想定しつつも、いざとなれば対処できると確信していたからだ。退役し、一般市民の世界に戻ってきたアルフレッドは、自由と平穏、そして愛を求めていた。そして彼のそばにはいつもSAS時代の仲間、バッザことデオン・バッシュフォード(ヘインズリー・ロイド・ベネット)とデイブ・ボーイことウォレス・マクドゥーガル(ライアン・フレッチャー)がいた。アルフレッドは誰にも命令されることのない生活、そして誰も殺さずにすむ自立した人生を探し求めていた。しかし、それは彼のように高度なスキルを身につけた者にとって、たやすいことではなかった。
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