REINOWAホールディングスと傘下のFCNTおよびJEMSが民事再生


REINOWAホールディングスと同社の完全子会社であるFCNTおよびジャパン・イーエム・ソリューションズ(JEMS)は30日、民事再生手続開始の申立てを行うことを決定し、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行い、これに伴って同裁判所より2023年5月30日(火)付で監督命令および弁済禁止の保全処分の発令を受けたと発表しています。

また民事再生手続をとることを前提としてFCNTについては取引関係のある複数の事業会社よってシニア向けSNSサービスなどのスマートフォン(スマホ)などの携帯端末の利用に関連した各種サービスの提供などを承継・支援する旨のスポンサー支援の意向表明を受けているため、今後、東京地方裁判所および監督委員の監督の下でサービス事業などのスポンサーへの承継のために可及的速やかに事業譲渡契約の締結をめざす予定で、事業の再生に全力を尽くすとしています。

一方でプロダクト事業のうちのスマホなどの携帯端末の製造・販売事業については現時点において具体的なスポンサー支援の意向が表明されていない中で事業を継続することは極めて困難な状況にあるため、同日以降速やかに事業を停止することを予定しており、製品の購入を予定していた場合には多大な迷惑と心配をかけることになるとして謝罪しています。

同様にプロダクト事業のうちの携帯端末の修理・アフターサービス事業についてもスポンサー支援がない状況においては継続が困難な状況にあり、事業を一旦停止する予定だとのこと。ただし、これらの事業の再開・支援につきましては今後、製品を納入している携帯電話事業者を含む関係各位とも協議していく予定ではあるものの、当面は一旦停止のような対応となるとしています。

これに対して携帯電話事業者であるNTTドコモやKDDIおよび沖縄セルラー電話、ソフトバンクでは現在取り扱っているFCNT製スマホ「arrows We」や「arrows N」、「らくらくスマートフォン」、「らくらくホン」などについて販売を継続するほか、利用者に心配をかけないように修理などのアフターサービスも継続して提供していくとしています。

さらにソリューション事業についてもスポンサー支援がない状況において継続が困難なため、同日以降速やかに事業の停止を予定しているとのこと。ただし、今後、スポンサーの意向次第ではこれらの事業を再開する可能性もあるとしつつ、当面は事業停止予定という対応となるということです。各社では裁判所および監督委員の関与の下で全役職員一丸となって弊社事業の再生に全力を尽くす所存であり、理解と支援をお願いしたいと説明しています。

その他、JEMSはエンデバー・ユナイテッドを含む3社で構成されるスポンサーから事業を支援する表明を受けたとしつつもFCNT向けの内製・修理事業は含まれないとし、FCNT向けの内製・修理事業は同日以降に事業を停止するとのことで、スポンサーへの承継対象事業については今年7月末をめどに譲渡を予定しているとしています。

なお、負債はFCNTが債権者約300名に対して約872億円、JEMSが債権者約360名に対して約613億円、REINOWAホールディングスが債権者24名に対して約290億円となっており、負債総額は3社合計で約1775億円(保証債務含む)になるということです。

REINOWAホールディングスおよびFCNT、JEMSは2018年に富士通の連結子会社でスマホなどの携帯端末事業を担う富士通コネクテッドテクノロジーズ(現、FCNT)と富士通周辺機(FPE)の携帯端末製造事業(社工場)を承継する新会社をポラリス・キャピタル・グループ(以下、ポラリス)が買収して設立されました。

その後、富士通コネクテッドテクノロジーズはFCNTと社名を変え、前身である富士通の携帯端末事業本部が2000年に操業を開始して以降、REINOWAホールディングス傘下のREINOWAグループとして現在まで「arrows」シリーズやらくらくスマートフォン、らくらくホンなどの携帯端末の企画・開発などの事業やらくらくシリーズなどのシニア向けSNSサービス「らくらくコミュニティ」の運営を行う事業など、JEMSはFCNT向け製品の製造・修理などを手掛けてきました。

しかしながら、携帯端末市場の成熟化などによって売上が伸び悩む中、昨今の円安の進行、世界的な半導体不足等の影響によって原価・費用が急激に高騰し、REINOWAグループの収益・資金繰りは、急速に悪化する事態となったとし、そのような状況の下でREINOWAグループは収益改善・資金繰り維持のための各種の取組みを進めるとともに並行してスポンサー支援による再建可能性も模索してきたとのこと。

最もREINOWAグループとして今夏の資金繰りの維持が必ずしも容易でない見込みとなる一方、法的整理によることなくスポンサー支援を受けることも困難と言わざるを得ない状況の中で今般、複数の事業会社からサービス事業などを承継・支援する旨のスポンサー支援の意向表明を受けたため、スポンサーへの承継によるサービス事業などの再生をめざすこととして民事再生手続開始の申立てに至った次第だとしています。

記事執筆:memn0ck

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・民事再生手続開始の申立て及びスポンサー支援に係る意向表明受領のお知らせ | FCNT株式会社
・(PDF)民事再生手続開始の申立て及びスポンサー支援に係る意向表明受領のお知らせ – REINOWAホールディングス株式会社
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