スマホとガラホの間を埋めるスマートケータイ「RETROII」レビュー後編!

携帯電話ショップ「テルル」などを運営するピーアップ(P-UP)の関連会社であるP-UP Worldは既報通り、2023年10月20日(金)に同社が展開している自社オリジナルブランドのスマートフォン(スマホ)ブランド「Mode1」の新スマートフォン「Mode1 RETROII(型番:MD-06P)」の販売を開始しました。

本体価格はオープンプライスではあるものの、希望小売価格は29,800円(税込)で、主な販路は携帯電話販売店のテルル各店舗や「+Style(プラススタイル)」(BBソフトサービス運営のECサイト)のほか、ヨドバシカメラやビックカメラ(コジマ含む)などの量販店やECサイトなどとなっています。

Mode1 RETROIIはAndroidスマートフォンでありながら、その形状は折りたたみ携帯電話(いわゆるフィーチャーフォン)型で、物理テンキーや方向キーを利用した操作とタッチパネルディスプレイを利用した一般的なAndroidスマートフォンの操作の両方が可能で、物理テンキーを採用したAndroidスマートフォンとしては本機の先代モデル「Mode1 RETRO(MD-02P)」(※2017年9月発売)以来、6年ぶりの新モデルとなります。

発売開始から2か月近くが経過した本機ですが、久しぶりに登場した折りたたみケータイ型のスマートフォンということもあってか発売開始から一週間ほどで売り切れ店が続出し、初回ロット生産分については一部の店頭在庫を除いてほぼ完売(メーカー在庫も記事執筆時点ではないとのこと)状態となっています。

メーカーによると、12月中に2次ロット生産分の出荷を予定しており、現在準備中であるということです。

そんな人気モデルとなったMode1 RETROIIですが、今回の記事では前回の開封レポートに引き続いて、実際にしばらく使っていて気が付いた、良かった点やその他に気が付いた点などを解説していきたいと思います。

【まずはアップデートを忘れずに】


未適用であればアップデート通知が届くはず。「システーム」の誤字はご愛嬌。

11月26日に「シンプルホーム」のアプリケーションのアサイン範囲の緩和などの使い勝手にかかわる部分や通知ランプの不具合などの改善点があるアップデートが配信されているので、未適用の方はまずはアップデートしましょう。

このアップデートの適用の有無で端末への評価が結構変わってきますので、お忘れなく。なお、アップデートのインストールには約30分かかるので、画面設定の画面の自動消灯の時間を30分にしておくとスムーズに適用できます。(画面が消灯すると動作が止まってしまいアップデートに失敗する可能性があります。)

【MODE1 RETROIIを使っていて良かったと思った点】

・「スマホ」なので、ケータイ型でもSNSアプリが一通り利用できる。


X(Twitter)やFacebook、InstagramにLINEなどのSNSアプリは(画面タッチ操作が必要な場面があるものの)一通り利用可能。

OSにAndroidを採用しつつもGMS(Google Mobole Service)アプリやGooglePlayストアの利用できないAndroidケータイ(いわゆるガラホ)とは異なり、Androidスマホにテンキーが搭載された端末である本機は一通りのAndroidアプリのインストールが可能で、ほとんどのSNSサービスをそのまま利用することができます。

筆者は音声メインで利用していく端末には物理テンキーを必須としていたので、「実用レベルのAndroidスマホでありつつもテンキー入力の可能なケータイ型」のこの部分が本機の購入を決めた決定打となりました。

アプリにおけるすべての操作を物理キーで行えるわけではなく、画面上のタッチ操作も併用しないといけませんが、それでもこれらのアプリの利用ができるのと全くできないのでは大違いなのです。

・アンテナ内蔵でケーブル類不要のFMラジオ機能が嬉しい


イヤホンなどのケーブル類不要でラジオが利用できるのは地味に便利。

ここ数年のスマートフォンやケータイにはテレビ機能(ワンセグ・フルセグ)が搭載されることはほぼなくなり、その代わりにFMラジオ機能が搭載されている端末が時折リリースされています。

RETROIIもFMラジオチューナーを内蔵しているのですが、珍しいことに本機にはFMラジオ用アンテナが本体内に内蔵されています。

大抵のスマホ・ケータイの場合はアンテナ代わりになる有線イヤホンや外部アンテナケーブルなどを接続してラジオの聴取をするのが一般的なのですが、RETROIIの場合は本体内にFMラジオ用のアンテナも内蔵しているため、FMラジオのアプリを起動するだけでラジオの聴取が可能となっています。

そのため、本機でラジオアプリを起動した状態で折りたたんだままポケットに突っ込んでワイヤレスイヤホンでラジオを聴く、といったこともできます。

唯一、惜しい部分としては「radiko + FM」アプリに非対応である点で、対応していればシームレスにFMラジオとネットラジオの切り替えができただけに、ちょっとだけ残念ではあります。(いわゆる「ラジスマ」の非対応であり、通常の「radiko」アプリは利用可能です)

・シンプルホームを併用したショートカット登録機能が便利
RETROIIには従来通りのAndroidスマートフォンのお馴染みの「ベーシックホーム」と、いわゆるシンプルケータイやシンプルスマホのようなレイアウトの「シンプルホーム」の2種類のホームアプリが用意されています。(もちろん別途サードパーティ製のホームアプリも導入可能です。)

シンプルホームはウィジェットが配置できなかったり、ホーム画面が1枚のみで増やせないなどの本当にシンプルなホーム画面(ホームUIを切り替える際に再起動がかかり、誤操作などによる設定ミスなどを防止するためなのか、端末設定画面大幅に項目がマスクされているのを見ると、かなり手を入れて作られたと思われます)となっています。

そんなシンプルホームですが、画面内のショートカットに6つ、テンキー側のショートカットキー(I〜IV)4つの計10か所に好きなアプリや特定の相手の電話番号を登録することが可能となっています。

シンプルホームには通常のアプリケーションドロワーがなく、画面内の「MENU」、「リスト」と押していくことで、1列に並んだアプリ一覧が表示されるのですが、これが最低限のアプリしか入れずに使うのであれば十分なのですが、多くのアプリを入れてがっつりと使うことを考えると、ちょっと不便です。

例としては、「サードパーティ製のアプリケーションドロワーを呼び出すアプリをインストールして、ショートカットキーに登録」することで、ワンボタンでアプリケーションの一覧を呼び出すことが可能であるなど、アイデアとアプリの組み合わせで大きく使い勝手を引き上げることができます。


シンプルホームのデフォルトの状態(左側)と筆者がカスタムしたもの(右側)

筆者の場合は、利用頻度の高そうなアプリ類はディスプレイ側のショートカットにセットして、カメラや設定の呼び出し、アプリケーションドロワーなどはハードキー側にアサインして、できるだけガラケーライクな使い勝手を意識したものにしています。


シンプルホームでも画面内に6つ(左側)とテンキーの上部にある4つのショートカットキー(右側)を使って、ケータイの手軽さとスマホの多機能さを両立。

筆者の場合はショートカットの「I」キーにサードパーティのアプリケーションドロワーアプリ「Drawerroid」を設定して、ショートカットに配置していないアプリでもすぐに呼び出せるようにしています。

普段は通話がメインで時々、+メッセージやLINEなどを使う程度くらいのライトユーザーであれば、それぞれによく利用する電話番号を登録しておくのもいいでしょう。

もちろん、通常のベーシックホームであれば、一般的なAndroidスマホ同様に自由にアプリやウィジェットをホーム画面へ置くこともできます。(ハードキーによるカーソルで選択・起動も可能です)

【MODE1 RETROIIを使っていて惜しいと感じた点】

・「ケータイ」っぽい端末だが、「ケータイ」のお作法は通じない
大手通信キャリア(MNO)や大手メーカーが販売しているOSにAndroidを採用した従来型携帯電話「フィーチャーフォン」や「ガラケー」、「ガラホ」と呼ばれる携帯電話に共通した基本操作や待ち受け・メニュー画面は非搭載で、国内に出回っているテンキー付き携帯電話の共通操作である「センターキーを押して、テンキーの0を押すと自分の電話番号や設定した住所などの個人情報を一発で呼び出す機能」などもありません。

昨今において、この機能が必要かどうかは別の話として、これまでの携帯電話と同じ感覚、あるいはその延長線上の操作感とはいかないので、こればかりは慣れる必要があります。

アプリを含むすべての操作をハードキーのみで行うことも(アプリ側がタッチ操作のみでしか利用を想定しておらず、タッチ操作の併用が必要となるため)できないことも覚えておきましょう。

余談ですが、本機での文字入力は通常のテンキー入力(トグル入力)のみで、ひと頃の携帯電話に選択することのできた2タッチ入力(いわゆる、ベル打ち・ポケベル打ち)は非対応となっています。

・指紋センサーの位置が惜しい&顔認証非対応


センサーの感度はすごく良いだけにちょっと惜しい…

RETRO IIに折りたたみケータイ型ながら、スマートフォンでもあるため、しっかりと指紋センサーがあり非常に感度が良いのですが、もったいないのはその位置で、右側面側の中央付近に配置されています。

この位置が左利きの筆者にとっては致命的に使いづらく、筆者の場合は持った時に左手の中指で指紋認証を行うようにしています。

富士通(現:FCNT)製携帯電話「F-01E」(NTTドコモ向け)などのように指紋認証センサーは背面にあった方が個人的にはよかったように思います。

または、せっかくインカメラを搭載しているのですし、顔認証によるロック解除に対応していれば、代替えにもなるので、顔認証非対応もちょっと惜しかったですね。(これはアップデートで実装して欲しい機能ではあります)

他にも、細かいところとして「防水防塵非対応」であったり、電話の着信があった際にサブディスプレイに相手の名前が表示できない(これもアップデートで実装できるなら、是非とも対応して欲しい)などありますが、本機はあくまでも「従来型の携帯電話の延長ではなく、久しぶりに登場したテンキー搭載の現行スペックのAndroidスマートフォン」です。

先代モデルと比較して順当に性能は向上し、フェイクレザー調のデザインを外装に採用するなど、小さなコダワリも光る、使い方ひとつで大きく化ける端末といっていいと思います。

初回ロットが完売するなど、固定層の需要に応えた「誰にでも広くオススメではないものの、必要としている人が必ずいる、刺さる人にはこの上なく支持される1台」ではないでしょうか。

使っていて愛着の湧くスマホであることは間違いなく、いずれ登場するであろう後継モデルも楽しみな端末ですよ!

・余談(という名の筆者の願望)


本体カラー「ウルフブラック」と「シープホワイト」の実機比較。ちなみに筆者はシープホワイトの方を買いましたが、個人的にはレッドがあれば欲しかったなー、なんて思ったりしました。(MODE1のスマホはカラバリにレッドが採用されることが多いので…)

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記事執筆:河童丸

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