次期スマホ「Xperia 1 V」が採用すると見られる「2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー」とは？


既報通り、ソニーが展開する「Xperia」ブランドにおいて新商品発表「The next ONE is coming.」を日本時間（JST）の2023年5月11日（木）13：00より実施します。詳細は明らかにされていませんが、少なくとも次期フラッグシップスマートフォン（スマホ）「Xperia 1 V」が発表されることになりそうです。

また同社は新たなティザー動画を公開し、すでに公開していたティザー動画では次世代イメージセンサーを採用したカメラを搭載することが示されていましたが、新たにこの次世代イメージセンサーはソニーグループ傘下のソニーセミコンダクタソリューションズが2021年12月に発表していた「2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー」となると見られます。

これにより、従来同一基板上で形成していたフォトダイオードと画素トランジスタの層を別々の基板に形成して積層することによって従来比約2倍の飽和信号量を確保できるため、ダイナミックレンジ拡大とノイズ低減を実現して撮像特性を大幅に向上可能となっているということです。なお、香港にてすでにポスター広告がフライング掲載されているようで、外観はこれまでを踏襲していて少なくとも3色がラインナップされるようです。


ソニーグループでは傘下のソニーセミコンダクタソリューションズがモバイル用イメージセンサーとしてこれまでのプロダクトブランド「Exmor」を開発・製造して世界シェアNo.1となっており、Exmorでは裏面照射型の「Exmor R」と積層型の「Exmor RS」として展開してきました。一方、同社では昨年11月に新プロダクトブランド「LYTIA」を発表しています。

直近のXperiaなどのメインカメラのイメージセンサーには積層型のExmor RSシリーズが採用されており、積層型は裏面照射型画素が形成された画素チップと信号処理回路が形成されたロジックチップとを重ね合わせた積層構造のCMOSイメージセンサーで、その画素チップには光を電気信号に変換するフォトダイオードと信号を制御するための画素トランジスタが同じ層に配置されています。

一方で限られた領域（センサーサイズ）の中で如何に飽和信号量を大きくするかがダイナミックレンジの広い高画質な撮影を実現するためには重要となっており、積層型をさらに進化させる技術が2層トランジスタ画素積層型となり、これは積層型に用いられている積層技術を用いて積層型では同一基板上で形成していたフォトダイオードと画素トランジスタの層を別々の基板に形成して積層します。

これにより、それぞれの層を最適化した構造の採用が可能となり、従来比約2倍の飽和信号量を実現したことによってダイナミックレンジの拡大に寄与し、さらに転送ゲート（TRG）以外のリセットトランジスタ（RST）やセレクトトランジスタ（SEL）、アンプトランジスタ（AMP）などの画素トランジスタをフォトダイオードのない別の層に形成するため、アンプトランジスタのサイズの拡大が可能となり、夜景などの暗所撮影時に発生しやすいノイズを大幅に低減させることに成功したということです。

2層トランジスタ画素積層型ではダイナミックレンジ拡大とノイズ低減を実現し、逆光などの明暗差が大きいシーンでも白飛びや黒つぶれがなく、室内や夜景などの暗いシーンでもノイズの少ない高画質な撮影が可能となるため、ソニーではスマホの写真・動画撮影などのさらなる高画質化の実現に貢献できるとしています。

なお、噂ではXperia 1 Vの主な仕様は約6.5インチ4K（1644×3840ドット）有機ELディスプレイやSnapdragon 8 Gen 2、12または16GB内蔵メモリー（RAM）、256または512GB内蔵ストレージ、microSDXCカードスロット、3.5mmイヤホンマイク端子、5000mAhバッテリー、防水・防塵（IP68）などとされており、リアカメラは以下の構成となっており、恐らくこのうちのメインセンサーが2層トランジスタ画素積層型を採用するのではないかと予想されます。

・1／1.28型の約1200万画素CMOS＋広角レンズ（F1.7⇔F4.0／焦点距離24mm）
・1／1.65型の約1200万画素CMOS＋超広角レンズ（F2.0／焦点距離14mm／光学0.6倍）
・1／2.9型の約1200万画素CMOS＋望遠・超望遠レンズ（F2.2／焦点距離70mm／光学2.9倍、F2.6／焦点距離105mm／光学4.4倍）

記事執筆：memn0ck

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