7月2〜4日に発生したau通信障害に関する説明会が開催!


KDDIは29日、都内およびオンラインにて「通信障害に関する説明および2023年3月期第1四半期決算会見」を開催し、2022年7月2日1時35分から発生したKDDIおよび沖縄セルラー電話によるau通信障害に関して最終的な影響数や返金などの補償、今後の再発防止策について発表しています。

同障害では障害時間が2022年7月2日(土) 01時35分頃から2022年7月4日(月)15時00分の61時間25分となり、影響が日本全国の音声(VoLTE)で約2278万人、データ通信のみで765万人以上となり、法人向けにも影響が出たことによって生活インフラを含むさまざまな業種に影響があったとしました。

同社では改めて多くの利用者に対して長時間に渡って多大な不便と迷惑を掛けたして改めて深く謝罪し、補償として約款返金(対象は271万人)に加え、携帯電話サービス「au」や「UQ mobile」など(マモリーノやウォッチナンバー、ホームプラス電話などを含む)を利用している全利用者(3589万人)に対してお詫び金200円(税抜)を返金すると発表しました。

なお、povo2.0は基本使用料が0円であるため、返金に替えてデータトッピング1GB(3日間)の進呈となっており、au回線を利用した仮想移動体通信事業者(MVNO)やデータ通信のみのIoTの契約者はこれらの補償の対象外となるとしてますが、例えば、MVNOではすでに紹介しているように携帯電話サービス「IIJmio」が同様にお詫び金200円(税抜)を独自に返金すると案内しています。

なお、KDDIおよび沖縄セルラー電話では社会インフラを支え安定したサービスを提供しなければならない通信事業者として今回このような事象を発生させたことを重く受け止め、再発防止策の徹底を図り、安定的な運用に向けて全力で取り組んでいくとしています。なお、会見に先立って7月28日(木)に総務省に重大な事故報告書を提出しており、総務省では報告書の内容を精査して必要な対応を検討する予定とのことです。

7月2〜4日に発生したau通信障害はKDDIおよび沖縄セルラー電話の通信設備である全国の中継網内におけるVoLTE交換機で輻輳が生じたことによってauやUQ mobile、povoだけでなく、ホームプラス電話やau回線を利用するMVNOなどでも音声通話およびSMS送受信、データ通信が利用しづらくなっていました。詳細は以下の記事をご覧ください。

・KDDI、携帯電話サービスが全国で利用しづらく!auやUQ mobile、povo、MVNO、楽天モバイルのローミングに影響。VoLTE交換機の障害 – S-MAX
・au回線の障害は重大事故で返金の可能性も?徐々に回復中で完全復旧は西日本で7月3日11時頃、東日本は7月3日17時30分を見込む – S-MAX
・KDDIが携帯電話サービスの障害を記者会見で謝罪!影響数は最大3915万回線で補償も検討。銀行ATMや物流、気象観測などにも影響 – S-MAX

会見ではまず経緯をおさらいし、7月2日未明にメンテナンス作業でルーターの経路後設定によって15分間の通信断が起こり、すぐに作業の切り戻しを行うも位置情報の再送が大量発生してしまい、VoLTE交換機の輻輳が起き、それによってさらに加入者DBの輻輳、そして加入者DBの不一致が連鎖的に発生したことで障害が長引いてしまいました。

これに対して負荷軽減を目的にトラフィックの流量制御したことで音声通話だけでなくデータ通信も利用できなくなり、さらにデータ不一致の改善をめざしたものの、改善しなかったため、不要な過剰信号送出の原因となった交換機を特定して切り離したところ音声通話およびデータ通信ともに徐々に回復していきました。

なお、メンテナンス作業は多摩設置の全国中継網ルーターで行っており、経路後設定に上りの信号は通るものの、下りが通らなくなるという不具合が発生し、半分の確率でなるため、利用者の携帯電話端末などからの位置情報要求が破棄され、再送が急造したので多摩のVoLTE交換機が輻輳を起こしたという流れとなっています。

なお、VoLTE交換機は日本全国の多拠点にあるものの、同じ構造で中継網を介しているため、分散処理をしているので同様に他の拠点でも輻輳が発生してしまい、負荷軽減のために流量制限を行うことになったという。またそれでも輻輳が完全に解消せずに一部のVoLTE交換機が異常状態だと分かり、18台のうちの6台で過剰な信号を送出し続けていたため、強制的に6台の切り離しを行ったということです。

これにより、携帯電話などの端末からの再送が終息して輻輳が解消していきました。そのため、KDDIではメンテンス作業による経路後設定を起因とした輻輳状態に対する考慮不足による障害の大規模化だと考え、メンテナンス作業時は作業の事前準備として管理ツール、確認項目、承認方法が行っていたものの、これらが不十分だったと反省しているとのこと。

特に大規模化した原因として特殊なネットワーク状態での輻輳制御が十分ではなかったためだと考え、さらに長期化したのは以前と比べて音声通話がVoLTEとなり、通信設備が複雑となった上での輻輳だったため、個々の原因の切り出しに時間がかかり、復旧手順も確立されていなかったとまとめました。

合わせて通信障害に対する補償として約款返金に加えてお詫び金を返金することが発表されました。契約約款ではすべての通信サービスを24時間以上連続してまったく利用できなかった場合に対応する基本使用量などを減算することになっており、約款に基づく対象者は271万人で、お詫び金は迷惑をかけたことに対してauおよびUQ mobile、ホームプラス電話などの契約者(全3589万人)に対して一律200円(税抜)を返金します。

合わせて総額73億円の返金となり、返金は8月中旬以降に対象者にSMSで案内を行い、SMSの送付の際には顧客情報の入力を求めないなど、フィッシング詐欺に配慮してリンク先のURLを記載しない方法で送るとし、実際の返金は9月以降(8月利用分)の請求額から返金額を減算する形となるということです。

なお、お詫び金が200円となった根拠としては「約款返金を先に明確にし、音声通話が24時間以上使えなかった場合に規定があるため、24時間1カウントで、61時間で2カウント(2日分)となり、基本料金の日割り分を日数分書けて約款返金が決まっている。その平均額が1日当たり52円となる」とのこと。

またお詫び金について実施するかどうかはかなり悩んだとし、約款上は返金を義務付けられていないため、約款返金に加えてどこまで返金するべきか検討を続けたものの、今回は音声通話も含めた障害だったため、約款返金の52円をベースとなったとし、約款上は2日間ですが、お詫び金は約款の規定に縛られる必要がないので3日間(52円×3)とし、それにお詫びの意味を超えて切の良い200円にした。さらにこれをどの範囲で返すか検討したが、お詫びも兼ねているので幅広く返金することになったということです。

なお、povo2.0においては前述通りに返金に替えてデータトッピング1GB(3日間)の進呈となっており、au回線を利用した仮想移動体通信事業者(MVNO)やデータ通信のみのIoTの契約者はこれらの補償の対象外となるとしてますが、例えば、MVNOでもIIJmioで独自に同様にお詫び金200円(税抜)を独自に返金すると案内しています。

また合わせて関係役員は報酬を自主的に返上し、社長の高橋誠氏は20%を3カ月分、関連役員2人は10%を3カ月、6人は10%を1カ月自主的に返上するとのこと。また今後は全社を挙げて再発防止を徹底し、安心して利用してもらえる通信ネットワークを提供していくと説明し、グループ全社一丸となって豊かなコミニュケーション社会の発展に貢献していくとしました。

質疑応答では今回の障害は「防げたのか?」という問いに「防げたかどうかではなく、防がなければならなかったものではないか」と発言し、「設定ミスと言っているが、ルート変更に必要なファイルに従って指示するようにしていたが、その指示ミスであるし、オペレーターは指示通り設定したがそれが原因の障害だった」としました。

そのため、質疑応答では「その前段階で反省して見直さなければならないが、事前の確認作業をもう一段界深くやっていれば防げたと思うし、防がなければ行けなかった」と続け、さらに「最初の通信断の15分間があったが、障害が起きた後にオペレーションセンターに行って話を聞いたが、ルートの後設定をした後に1分間ぐらいでVoLTE交換機が輻輳した」としました。

また「実際に輻輳を起こしてから障害が終わるまでに発見ができなかったため、VoLTE交換機の輻輳をリセットしながら直していったが、最終的にはその段階でバックアップファイルが壊れて生成されたのがひとつの原因だった。それがなかなか発見できなかったのが長時間かかった原因」だとコメントして「複雑な状況だったが、もう少し原因を早く突き止められたのではないかと反省して再発防止に取り組んでいきたい」と説明しました。

一方で「返金については総額73億円になり、経営に対しては影響がないとは言えないという額だが、そこは経営努力でカバーしていき、経営の中で吸収していきたい。また設備投資は自己検証委員会がこれから検討していくので、そこで指摘されることもあるでしょうからそれを含めて設備投資をしていくことになるが、年間6000億円以上の設備投資をしており、そこに対する投資は必要なのでしっかり投資しながら掛かった費用は経営の中でカバーしながら安定したサービスを提供していきたい」ということです。

そうした経営への影響が利用者に転嫁されてしまうのではないかと問われたのに対しては「ダイレクトに料金に転化することにはならない」とコメントし、総務省から指摘された情報提供については「お客様には非常にご迷惑をかけた。各方面からも指摘されたが、災害や障害の対策をしながら同時に発信をしていくのはなかなか難しいが、今後、大きく見直していかなければならないと感じた。障害発生時に対策を行う専門チームを育成しながら対応していく」とのこと。

その上で「どのメディア、どの手法を使って情報提供をしていくのか判断が必要で、音声通話が駄目ならSMSを使うとか(今回はSMSも使えなかったが)、どうしたら一番伝えられるか判断した上で障害の状況を丁寧に伝えるのが役割だと痛感している。auショップなどの店頭にはメールで伝えて張り紙をしてもらったが、店頭にはサイネージがあるので、それで伝えるとか、障害に向けたオウンドページを作るとか、メディアに手伝ってもらって発信するとか、しっかりと準備をして記事手配をしていきたい」と説明。

また障害発生後に解約が増えたかという問いには「あまり解約の数字は大きくなっていないが、新規契約には影響が出ている。障害を起こしてしまって信頼回復には時間がかかるが、再発防止をしっかりやって長年使っていただいているお客様の信頼を回復して新しいお客様に来ていただくことに努力していきたい」ということです。

記事執筆:memn0ck

■関連リンク
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・2022年7月2日に発生した通信障害について | 2022年 | KDDI株式会社
・2023年3月期第1四半期決算について | 2022年 | KDDI株式会社
・総務省|報道資料|KDDI株式会社及び沖縄セルラー電話株式会社から提出された重大な事故報告書の受領