中古スマホの利用実態とリスクについて考えてみた!


みなさんは中古のスマートフォン(スマホ)を購入したり使用したことはあるでしょうか。例えば、中古ショップで購入したものではなくとも家族が使っていたスマホを「お下がり」として譲り受けたり、以前使っていた機種をサブ回線用として活用している人は多いかも知れません。

数年前からこの中古スマホへの関心が市場的にも一般的にも徐々に広がりつつあるのを感じています。詳しくは後述しますが、スマホ市場全体の飽和化によって中古スマホでも状態の良いものが数多く出回っていることや新規機種の価格の高さ、スマホの性能の成熟化など、その理由はさまざまです。

人々は何を求めて中古スマホを利用し始めているのでしょうか。また利用する際のリスクとは何でしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回は中古スマホの利用実態と利用する際の注意点などを解説します。


今、中古スマホ市場が熱い

■徐々に関心を集めていった中古スマホ市場
はじめに現在の中古スマホの利用実態を調べてみましょう。

MMD研究所が2022年4月に調査を行い5月に公開した「2022年中古スマホに関する調査」によると、現在「メイン端末」として利用している中古スマホ(修理・整備品も含む)の利用率は11.6%となっており、2020年4月の調査データの6.1%から5.5%伸びています。

さらにこの数字には家族や友人からの譲渡分は含まれていません。「友人・家族からスマートフォンを譲り受けた」という人は2022年5月の数値で3.3%となっており、これを合わせれば14.9%となります。

新品のスマホの利用者が84.5%もいる点や2020年以前のデータは60歳以上が含まれない調査データである点を加味しても事実として15%近い人々、つまり6〜7人に1人は中古スマホをメイン端末として利用している点は注目に値します。


新品のスマホを購入している人が圧倒的ではあるが、中古市場の広がりを感じさせるデータだ

中古スマホが人気になりつつあると言っても突然ブームがやってきたわけではありません。2015〜2016年頃から徐々にその利用者が増え始め、年に1〜2%程度という割合で安定して増え続けていたのです。

この主な要因はスマホ市場の飽和化とスマホ性能の成熟化にあると筆者は考えます。2015年と言えばAppleの「iPhone 6s」が発売された年であり、スマホが性能的にも機能的にも日常利用で不満のないレベルに到達した時期です。

一方でAndroidスマホを見てもサムスン電子の「Galaxy S6 edge」やソニーの「Xperia Z5」などが発売されており、高い完成度と充実した性能で好評を博しました。

この頃からスマホは基本性能での差別化が難しくなり、2016〜2017年頃からカメラユニットを複数持つスマホが大量に登場し始め、カメラ性能の高さを新たな付加価値として競い合う時代へと突入し始めたのです。

そういった「スマホの成熟化」は新しいスマホへの興味や関心を下げ、「中古のスマホでも別に問題はないな」と人々に感じさせるのに十分だったと考えるところです。


2017年11月発売のApple製「iPhone X」。多眼カメラや全画面デザインなど、現在のスマホのスタンダードへ繋がる直系の祖と言える

■中古スマホ需要を加速させた2つの要因
とはいえ、2020年から2022年までの2年間での利用者の増加数は若干加速しているようにも感じます。この背景には次の2つの理由があると考えます。

1つは2019年10月に施行された電気通信事業法改正によるスマホ価格の実質的高騰です。それまで通信料金プランとの抱合せ販売によって大幅な値引きを行って売られていたスマホは、本来の端末価格(あるいはそこから2万円までの値引きの範囲内)で販売されるようになり、消費者に「スマホが高くなった」と感じさせるのには十分すぎるほどのインパクトでした。

ただでさえスマホの性能向上とともに年々価格が上昇していた中、通信キャリアは通信料金プランとのセット販売によってその価格上昇分を上手く吸収させることで見た目上の安さを維持していたのですが、それができなくなったことで突然店頭価格が3〜5万円も跳ね上がったように感じてしまったのです。

※2022年に入り、代理店の強引な値引き施策によって再び大幅な値引き販売が行われている状況が複数報告されていますが、そういった特殊な例は除きます。

奇しくも2016〜2017年頃からブーム化していた仮想移動体通信事業者(MVNO)市場が人々へ認知され定着しつつあったため、新品や新製品にこだわりのない層を中心に中古スマホでも扱いやすいMVNOとセットで利用し始める人が増えていきました。


総務省による強引とも取れる通信料金関連の改革はスマホの店頭価格上昇を招いた

そしてもう1つの大きな要因と考えるのがコロナ禍です。

2020年以降、疫病のまん延防止の名の下で経済活動を大きく制限せざるを得なくなった私たちの生活は、収入の減少や失職すら余儀なくされる事態に発展しました。

そのような中で、高額な新品のスマホを購入するのはなかなかに勇気が必要です。せめてコロナ禍が落ち着くまでは買い替えを控えたい。破損や故障などで買い替えざるを得ないなら、ひとまず場つなぎ的に中古スマホで済ませたい。そのように考える人が増えてもおかしくはありません。

MMD研究所の調査の中でも「中古スマホ(修理・整備も含む)を購入した理由」の第1位は「新品より価格が安いから」と答えた人が36.2%と、2位以下を3倍近い数値で圧倒しています。

中古スマホに求めるものが価格の安さであるのは当然ですが、その中古スマホでも日常利用で支障がない性能と機能であるからこそ、そのように言えるのだと考えるところです。


2位以下は人それぞれの理由といったところ。やはり中古スマホに求めるものは価格が最優先だ

■中古スマホで気をつけるべき2つのリスク
それでは中古スマホを利用する上で注意すべき点とは一体何でしょうか。1つは「必ず信頼性の高い業者やショップで購入すること」です。

家族や友人から譲り受けるパターンを除き、多くは中古ショップや通信キャリアのリユース品などから購入するのが一般的ですが、中にはヤフオク!やメルカリといった、個人売買のフリマアプリおよびオークションサイトで購入する人も少なくないようです。


中古スマホの購入元となるフリマアプリ・オークションサイトの合計は実に1割以上にのぼる

しかしながら、こういった個人売買では中古製品の動作保証や品質保証、アフターサービスなどは一切ありません。原則として自己責任による売買であり、仮に購入後に正常動作しなかったとしても「出品時にNCNR(ノークレーム・ノーリターン)と書きました」と言われたり「購入後に故障させたのでは?」と言われてしまえば泣き寝入りするしかありません。

個人売買は売る側としては中古買取業者に売るよりも高額で売れる場合が多く、買う側としても中古ショップで購入するより安く買える可能性があるとして広く利用されるようになっていますが、スマホのように元々の価格が高額な精密機器の場合、そのリスクに見合うだけの価格メリットがあるとは思えません。

特にスマホの場合は割賦(ローン)で購入している人が多いため、残債の未払いなどでネットワーク利用制限を掛けられてしまっているスマホが存在します(俗に「赤ロム」と呼ばれる)。

中には盗難品なども混じることがあり、個人売買ではこういった「そもそも利用できないスマホ」を掴まされてしまうリスクがないとも限りません。

中古スマホの購入には販売前の動作確認や購入後の返品保証などもしっかりと行っている中古販売業者や、通信キャリアおよびスマホメーカーによるリユース品(整備品)の販売を利用することを強くオススメします。


Appleの場合、自社製品の中古は「認定整備済製品」として品質保証やアフターサポートを付帯して販売している

もう1つ注意しなければいけないのはスマホ本体の劣化状況がまちまちであることです。

例えば、中古ショップにストレージ容量や本体カラーが同じiPhone 12が大量に並んでいたとしてもそれぞれの価格が全部同じであることはほぼありません。本体の傷の具合やバッテリーの劣化具合などで細かく査定が行われ、価格に反映されているからです。

「どうせ中古を買うのだからできるだけ安いものを……」と安易に考えて一番安い個体を購入してしまうと、保証期間が切れた直後にバッテリー不調が起きたり、カメラ機能に不良が出て修理が必要になったりすることがあります。

その他の電子部品も元の持ち主の利用状況次第で劣化具合がさまざまであるため、仮に用心して価格が高めの個体を選んだとしてもリスクがゼロになるわけではありません。

中古ショップでの購入はフリマアプリなどでの購入よりは格段に安全ですが、それでも新品との価格差なりのリスクがあることは常に念頭に置いて購入すべきでしょう。


精密機械である以上「中古である」という時点で故障リスクはある程度覚悟しなければいけない

■正しい知識で中古スマホを購入しよう
多くの人はこれらのリスクや注意点をしっかりと理解した上で利用しているため、現状では大きな問題とはなっていない中古スマホですが、今後その利用がさらに増加し、あまり知識のない人まで購入するようになればトラブルも増加すると予想されます。

「どうせライン(LINE)とインスタ(Instagram)しかしないから」とか「別に壊れても気にしないし」と、安易な考えで中古スマホに手を出すのが最もリスクの高い行動と言えます。

現在のスマホは電子マネーを管理したり各種オンラインサービスのパスワード情報を記憶・保持するなど、日常生活で非常に重要な要素を数多く内包する多機能端末です。

そのスマホを安易な考えで格安の中古スマホに交換してしまい、いざ故障した場合にオンラインサービスのパスワードが分からず利用できなくなったり、電子マネーとして登録していた金額を失うような結果にならないとも限りません。そこまで重大なものではなくとも、写真や動画など大切なデータが消えてしまうリスクは相応にあります。

中古スマホは正しく利用すれば非常に便利で家計にも優しい1つの選択肢です。正しい知識とともに利用することを心がけましょう。


どうしても不安な人は、通信キャリアやスマホメーカーが用意するリユース品や整備品から探してみよう

記事執筆:秋吉 健

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